鹿島アントラーズの小川諒也は、4バックの中央へ固定するより、左サイドバックを軸に3バックの左まで担う可変型DFとして生かすのが現実的だ。
183cmの体格と左足は魅力だが、本職センターバックとしての継続的な実績は確認できない。期待だけで転向を語らず、実際の起用歴と鹿島の選手構成から適性を見極める。
小川諒也はセンターバックで使える?
結論から言えば、3バックの左や試合終盤の緊急対応なら候補になるが、4バックの中央へ固定する起用は慎重に考えるべきである。
小川諒也は1996年11月24日生まれ、東京都出身。鹿島とJリーグの公式プロフィールでは身長183cm、体重78kg、ポジションはDFと登録されている。2025年6月9日、ベルギーのシント=トロイデンVVから鹿島へ完全移籍し、背番号7を背負った。
これまでの所属クラブは、FC東京、ポルトガルのヴィトーリアSC、ベルギーのシント=トロイデンVV、そして鹿島である。日本代表としても5試合に出場している。
主戦場は左サイドバックだ。
鹿島デビューとなった2025年6月14日の京都サンガF.C.戦後にも、小川本人が「4バックの左」でプレーしたことを説明している。さらに、攻撃的に高い位置を取ろうとしていたという趣旨の振り返りも残している。
この公式コメントは、小川の基本的な役割を考えるうえで重要だ。
小川は中央で相手FWを監視し続けるタイプとして加入したのではなく、左サイドから前進し、左足で攻撃へ関与する選手として鹿島に加わったのである。
一方で、183cmというサイズは左サイドバックとしては高さがあり、左利きの守備者でもある。最終ラインの左側へ移す案が浮かぶのは自然だ。
ただし、身長と利き足だけではセンターバック適性を証明できない。
センターバックには、空中戦や対人守備だけでなく、最終ラインの統率、背後の管理、クロスへのポジショニング、味方とのマークの受け渡しが求められる。
公開されている鹿島、Jリーグの公式記録を確認しても、小川がプロの公式戦で4バックのセンターバックを継続的に担当してきた経歴は示されていない。
したがって、現時点で言えるのは「センターバックも問題なくできる」ではない。
体格と左足を生かし、条件を限定すれば中央寄りの仕事を任せられる可能性があるという評価までにとどめるのが誠実だ。
小川諒也のセンターバック適性をどう評価する?
小川の適性を判断する材料は、左足、体格、実際のプレー位置、守備時の負担という4点に整理できる。
評価項目 確認できる事実 センターバック起用への評価
利き足 左利きで、左サイドからクロスを供給 3バック左や後方の左側で生きる
体格 183cm、78kg 高さへの対応を考える材料になる
本職 主に左サイドバック 4バック中央への固定は未知数
公式戦でのCB歴 継続的な中央起用は確認できない 緊急起用や限定運用が現実的
左足は後方の組み立てで武器になる
小川の明確な強みは左足である。
2026年2月14日の横浜F・マリノス戦では、前へ飛び出した鈴木優磨のプレーに続き、小川が左足でクロスを送った場面がJリーグ公式レポートで紹介されている。
また、2026年の月間ベストゴールに選ばれた得点についても、得点者が小川から「素晴らしいクロス」が上がったと振り返っている。
これらはセンターバックとしての能力を直接示す記録ではない。
しかし、左側の低い位置から前方へ正確にボールを送れることは、3バックの左を任せる際に大きな価値を持つ。
左利きの選手を左ストッパーへ置けば、身体を外側へ開いた状態でボールを受けやすい。左サイドへ出すパスも、前線の背後を狙うボールも、利き足を使って自然に送り込める。
ただし、サイドからクロスを上げる技術と、中央で相手のプレスを外す技術は同じではない。
実際、2026年3月22日のジェフユナイテッド千葉戦では、小川の横パスが相手へ渡り、シュートを受けた場面がJリーグ公式レポートに記録されている。幸い失点にはつながらなかったが、後方での判断には一瞬の遅れも許されないことが分かる場面だ。
左足は間違いなく武器である。
その一方で、中央寄りの位置ではパスコースが360度に広がり、ボールを失った瞬間に決定機へ直結する。小川を後方へ動かすなら、左足の精度だけでなく、受ける前の確認とリスク管理も評価しなければならない。
183cmの体格は可能性を広げる
小川の身長は183cmである。鹿島公式、Jリーグ公式の双方で同じ数値が掲載されている。
相手が試合終盤にロングボールやクロスを増やす展開では、最終ラインに183cmの守備者を残せることには意味がある。
しかし、身長だけで空中戦の強さは判断できない。
競り合いでは、落下地点の予測、相手への身体の当て方、助走の取り方、跳ぶタイミングが結果を左右する。小川の中央での空中戦勝率や、大型FWとの対戦成績を示す公式データは、一般公開されている記録からは十分に確認できない。
だからこそ、「183cmだからセンターバック向き」と断定してはいけない。
正確には、センターバック起用を検討できる最低限のサイズがあるという評価になる。
本職センターバックとの最大の違いはライン管理だ
センターバックの難しさは、一対一の強さだけではない。
相手のパスが出る瞬間にラインを上げるのか、背後へ下がるのか。味方のサイドバックが前へ出たとき、どこまで外側をカバーするのか。相手FWが中盤へ降りた際についていくのか、ボランチへ受け渡すのか。
これらを味方と共有し続けなければならない。
小川が左サイドで培ってきた対人対応や走力は生かせるが、4バック中央でライン全体を動かしてきた実績は確認できない。
整備士として例えるなら、左サイドバックとセンターバックは、同じ足回りを支える部品に見えても受け持つ荷重が違う。
小川を中央へ置くなら、空いた場所へそのまま移すのではなく、周囲との接続まで含めて設計し直す必要があるのだ。

鹿島で最も現実的な起用法は?
鹿島での最適解は、左サイドバックとして先発し、試合状況に応じて最終ラインの左へ絞らせる運用である。
小川を最初からセンターバックへ固定する必要はない。
鹿島の2026-27シーズン登録選手には、植田直通、キム・テヒョン、千田海人、関川郁万、津久井佳祐ら、本職として中央を担えるDFが登録されている。小川は安西幸輝、小池龍太、溝口修平らとともに、サイドでも起用できる選手として名を連ねる。
本職の中央守備者が複数いる以上、小川を4バック中央へ転向させる優先度は高くない。
現実的な起用法は、次の3つに絞られる。
- 左サイドバックから攻撃時に後方へ絞る
- 3バックの左ストッパーを務める
- リード時やアクシデント時に5バックの左へ入る
左サイドバックから後方へ絞る
最も小川の長所を失わない方法だ。
守備時は通常の左サイドバックとして相手の右ウイングへ対応する。鹿島がボールを持ったら、センターバックの左横まで下がり、後方を3人にする。
小川が残れば、逆側のサイドバックを高い位置へ送り出しやすい。ボールを失った際も後方の人数を確保できる。
相手が小川を追って内側へ入れば、その外側にスペースが生まれる。相手が外へ残れば、小川は前を向いてボールを扱える。
これは完全なセンターバック転向ではない。
左サイドバックの守備範囲を中央寄りまで広げる起用である。
小川がこれまで積み上げてきたサイドでの経験と、左足の配球を同時に生かせるため、最も再現性が高い。
3バックの左ストッパー
小川をセンターバックに近い位置で試すなら、3バックの左が適している。
中央には植田やキム・テヒョン、千田ら、本職のセンターバックを配置する。小川はその左に入り、相手の右ウイングや右サイドバックが進出したときに外へ出る。
この位置なら、小川はゴール前の中央へ固定されない。
普段の左サイドバックに近い範囲を守りながら、後方ではセンターバックの一人としてボールを動かせる。
相手FWとの空中戦やポストプレーへの対応を中央の選手に任せ、小川には左側のカバーと前進を担当させる。役割を明確にすれば、無理の少ない配置になる。
反対に、小川と同じように複数ポジションをこなせる選手だけを並べると、誰が中央を統率するのか曖昧になる危険がある。
小川を左ストッパーで使う際は、隣に声を出してラインを動かせる本職CBを置きたい。
終盤の5バックと緊急対応
2026年3月7日の東京ヴェルディ戦では、小川が後半36分にチャヴリッチとの交代で投入されたことがJリーグ公式記録で確認できる。
ただし、公式の交代記録だけでは、出場後に小川がセンターバックを務めたと断定できない。
「攻撃的な選手に代わってDFが入った」という事実と、「センターバックとしてプレーした」という評価は分ける必要がある。
一方、2026年5月6日の水戸ホーリーホック戦では、小川が後半37分に安西と交代している。こちらは同じ左サイドの交代として読み取るのが自然だ。
この2試合から分かるのは、小川が終盤の配置調整に使いやすいDFだということだ。
リードを守る場面では、左サイドを閉じながらゴール前へ絞らせる。センターバックに負傷者が出た場合は、3バックや5バックへ変更し、小川を左端に回す。
小川一人に中央のすべてを任せるのではなく、布陣を変えて負担を分散することが重要である。
小川諒也を4バックの中央で使うリスクは?
最大のリスクは、小川を中央へ動かすことで、本職の左サイドバックとしての長所まで失うことだ。
小川の武器は、左足で前方へボールを送り、必要な場面では高い位置まで進出できる点にある。
2026年2月の横浜F・マリノス戦で見せたクロスのように、味方の攻撃へ続いて外側からボールを届けるプレーは、ゴールに近い位置でこそ価値が高まる。
4バック中央へ固定すれば、クロスを上げる位置まで進む機会は減る。左サイドの幅は別の選手が担当しなければならない。
さらに、鹿島は2026年7月、安西幸輝が7月18日のトレーニングキャンプで左膝前十字靱帯を損傷したと公式発表した。治療期間は非公表である。
安西の離脱期間が明示されていない以上、復帰時期を推測するべきではない。
ただし、左サイドバックの中心選手が治療へ入った事実を踏まえれば、小川を中央の控えとして消費するより、左サイドで必要とする試合が増える可能性はある。
鹿島の2026-27シーズン登録には小池龍太、溝口修平らもいるが、左右両方への対応力や攻撃での役割は選手ごとに異なる。単純に人数だけで穴が埋まるとは限らない。
もう一つのリスクは、大型FWとの継続的な中央戦である。
左サイドでウイングと向き合う守備と、中央で相手FWを背負わせない守備は性質が違う。センターフォワードは身体を預けてボールを収め、反転や落としで攻撃の時間を作る。
小川がその勝負を90分間安定してこなせるかを示す公式データは確認できない。
相手がロングボールを多用する試合や、ゴール前へ大型選手を並べる試合では、本職のセンターバックを優先するべきだ。

考察|小川諒也は「中央も守れる左SB」を目指すべきだ
ここからは筆者の考察である。
小川諒也を4バックのセンターバックへ完全転向させる必要はないと考える。
鹿島には本職のセンターバックがそろっている。2026年の百年構想リーグ地域リーグラウンドでも、鹿島は18試合で29得点9失点。公式順位表ではEAST首位となり、両グループを通じても失点9は最少だった。
なお、大会は90分勝利だけでなくPK戦による勝敗を含む特殊形式である。
鹿島の公式順位表では、18試合の内訳が90分勝利13、PK勝利2、PK敗戦2、90分敗戦1と記録されている。「15勝3敗」と単純化すると大会形式を正確に表せないため、内訳まで見る必要がある。
この守備成績を考えれば、実績のある中央守備陣を崩し、小川を本職CBとして固定する必然性は薄い。
それでも、小川にセンターバック的な動きを仕込む価値は大きい。
理由は、一人の立ち位置を変えるだけでチーム全体の重心を調整できるからだ。
鹿島が相手の前線プレスを受けたとき、小川がセンターバックの左へ下がれば、後方のパスコースを増やせる。相手が小川まで追えば、左サイドの前方が空く。追わなければ、小川が左足で前進できる。
鹿島がリードしたら、小川を一列下げて5バックへ移行する。得点が必要になれば、再び左サイドの高い位置へ押し出し、クロスを使う。
つまり、小川は「センターバックか左サイドバックか」という二択で見る選手ではない。
試合の流れに応じて、左サイドと最終ラインの境界を動ける選手として考えるべきだ。
小川が3バックの左を務めるなら、中央には本職CBを残す。前へ出るタイミングと、背後を誰が埋めるのかを整理する。ボランチにも、小川が外へ引き出された際のカバーを求める。
この約束事があれば、小川の積極性は武器になる。
反対に、連係を整理せず「大柄な左利きだから」と中央へ置けば、長所を消すだけでなく、ゴール前の判断にも不安を残す。
筆者として最も見てみたいのは、左サイドバックで先発した小川が、相手と試合展開に応じて3バックの左へ移る形だ。
それなら本職を捨てず、左足、体格、海外経験を鹿島の戦術へ上乗せできる。
センターバックへ転向させるのではない。
センターバックの仕事までこなせる左サイドバックへ進化させる。
それが、小川本人と鹿島の双方にとって最も合理的な道だと考える。
まとめ
小川諒也は、左利き、183cm、78kgという条件を持ち、最終ラインの左側でも力を発揮できる可能性がある。
ただし、プロの公式戦で4バック中央を継続的に務めた実績や、中央での空中戦勝率、ライン統率を裏づける公開データは確認できない。
鹿島で現実的なのは、次の起用法だ。
- 左サイドバックからボール保持時に後方へ絞る
- 3バックの左ストッパーとして使う
- 終盤の5バックやアクシデント時に左端へ回す
4バック中央への固定は、小川の左サイドでの攻撃力を失ううえ、本職センターバックがそろう鹿島の編成にも合いにくい。
結論は明確である。
小川諒也は「センターバックへ転向させる選手」ではなく、「中央の仕事も担える左サイドバック」として磨くべきだ。
期待だけで役割を広げるのではなく、確認できるプレーとチーム全体のバランスから最適な配置を探る。その冷静さが、最後には鹿島の勝利へつながる。
小川の左足を生かしながら、赤い最終ラインにもう一つの選択肢を加えよう。俺たちも目を凝らし、声を張り、熱く後押ししていこうぜ!
よくある質問
小川諒也の本職はセンターバックですか?
主戦場は左サイドバックである。
鹿島デビュー戦後にも、本人が4バックの左でプレーしたと説明している。プロの公式戦でセンターバックを継続的に担当してきた記録は確認できない。
小川諒也は鹿島でセンターバックとして出場しましたか?
途中出場で守備的な配置変更に加わった試合はあるが、公式の交代記録だけではセンターバックを務めたと断定できない。
実際の立ち位置を判断するには、試合映像とチームの配置を確認する必要がある。
小川諒也を中央で使うならどこが適していますか?
3バックの左ストッパーが最も現実的だと考えられる。
中央に本職のセンターバックを置き、小川には左サイドのカバー、相手右サイドへの対応、左足での前進を任せる形が適している。
赤星茂(あかぼししげる)


コメント